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#01「ペットと新たな市場開拓」 一尾 敏正 (HMS役員 | 関西国際大学 現代社会学部 准教授)
皆さんはペットを飼っていますか。第1回目のコラムはペットと宿について少しばかりお話をしたいと思います。我が家には2歳になる虎太郎(こたろう・豆柴犬)がいます。ペットに癒される方も多いと思いますが、さて旅行をするとなるとこれが少し厄介です。どこに行くかというより、どこに泊まれる宿があるかが問題です。さて、さて、どこにするか、ググるしかないのです。
ところで、犬の飼育数は7,053千頭(2022年)とのデータがあります。新規の飼育は2019年350千頭から2022年には426千頭と120%の増加です。コロナ感染症の流行でペットブームが起こったのです。さらに、このブームで様々なペット用品市場が拡大しているのも事実です。年間の飼育費用は200万~250万円とのデータがあります。ペット飼うには大いに費用が掛かるわけです。
このようなエビデンスを踏まえてもペット市場に参入できていないのが宿泊業です。そんな中、積極的にペットと泊まれる宿を展開する事業者もいます。Yリゾートは従来の施設をリノベーションしペットと泊まれるホテルを開業しました。早速利用すると、大いに繁盛、ペット愛好家で和気あいあいです。館内にドックランもあり、客同士のコミュニケーションも生まれます。もちろん、従来の旅館の料金より高い設定です。利用客は価格よりペットと家族が楽しめることが重要です。大いに魅力的なターゲット市場ではないでしょうか。
2019年までのインバンドブームを受けこの2~3年多くの新規ホテルが開業しています。新規開業の施設は新たな市場を開拓してほしいものです。最近では、ロイヤルパークホテルが京都の店舗にペット同伴の客室を整備しました。
宿泊業に求められるのは新たな市場の創造です。市場の創造は差別化に繋がります。人手不足はより深刻になるでしょう。そのためにも、柔軟な発想で事業活動に取り組む必要があります。皆さんの組織はいかがでしょうか。