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#11「今年の桜の時期と「ホテル価格の高騰」について思うこと」吉野 修 (HMS役員 | (有)エーエムワークス パートナー)
今年のお花見では、1兆円を上回る経済効果が見込まれるという試算が出ています。特に観光地ではホテルの宿泊料金が3年前の約2.5倍にまで跳ね上がっています。メトロエンジンによると桜満開日より1週間のホテル価格は2名利用で、東京23区では2021年の14,700円から39,000円へ、京都市では21,400円から52,900円へと大幅に上昇しました。花見シーズンだけでなく東京都内のホテル料金の高騰は目を見張るものがあり、銀座地区ではADRも20,000円を超え出しました。業界には「稼げるときに稼いでおかないと」と言った風潮や、ダイナミックプライシングやレベニューマネジメントの効果とも言われていますが、最近では日本人のビジネスパーソンが利用できず、外国人観光客を中心とした利用に変化しているようです。ホテル業界におけるダイナミックプライシングは、需要と供給の状況に応じて宿泊料金を頻繁に変動させる仕組みですが、以下のような問題点を大いに感じます。
1.価格の不透明性*
ダイナミックプライシングにより、同じ客室でも価格が異なることがあり、顧客にとって価格の予測が難しくなる。
2.客室の価格変動
価格が頻繁に変動するため、予約時の価格と実際の宿泊時の価格が異なることがあり、客の不満を招くことがある。
3.顧客満足度の低下
価格変動により、顧客が不満を抱く可能性が高まります。
特に、高額な価格で予約した顧客が、後で安い価格で同じ客室を予約できた場合に不満を感じることがある。
4.ブランド価値への影響
頻繁な価格変動がブランドの信頼性や一貫性に影響を与える可能性がある。
これからもホテル業界は、ダイナミックプライシングを適切に活用しつつ、収益の増加とこれらの問題点を解決する方法を模索していくのでしょうか。ホテル運営会社は長期的な視野に基づき、単なる目先の収益だけにとらわれず、基本的運営方針をしっかりと顧客や従業員に示しながら両者の満足度を向上させてもらいたいものです。